公務員として働きながら、NISAをきっかけに投資を始めようと思うと、一番よく出てくるのが「オルカン」と「S&P500」ですよね。
どっちが安全なんだろう…
公務員の自分には、オルカンとS&P500どっちが合っているんだろう…
間違ったほうを選んで損したらイヤだな…
こんなモヤモヤを抱えたまま、なかなか最初の一歩が踏み出せない方も多いと思います。
しかも公務員は、副業に制限があったり、将来の退職金や共済年金も関わってきたりと、一般の会社員とは少し違う事情もあります。
だからこそ、「公務員のNISAはオルカンかS&P500か?どっちがいいのか」を、公務員目線で整理しておくことが大切だと感じています。
この記事では、元県職員FPの私が、
公務員がオルカンとS&P500で迷いやすい理由
公務員目線で見た、それぞれのメリット・デメリット
公務員はオルカンかS&P500か?どっちが向くかタイプ別の考え方
NISAで実際にどう組み合わせるかの具体的パターン
長く安心して続けるためのメンタル・注意点
を、できるだけやさしく整理していきます。
読み終わるころには、「自分はこのタイプだから、まずはこの選び方でやってみようかな」と少し気持ちが軽くなっていたらうれしいです。
では、順に見ていきましょう。
第1章 公務員が「オルカンかS&P500かどっち?」で迷う理由

公務員がオルカンとS&P500で悩みがちなのはなぜ?
NISAを始めようと思って調べると、ほぼ必ず出てくるのが「オルカン(全世界株式)」と「S&P500(米国株式)」です。
どちらも人気が高くて、SNSや本でも「これ1本でOK」「迷ったらコレ」という声がたくさんありますよね。
ただ、そこで逆にこう思ってしまう人が多いです。
こんなにみんな言ってるなら、失敗したくない
公務員の自分には、オルカンとS&P500どっちが合うんだろう
片方を選んで、あとから「反対のほうが良かった」となったらイヤだ…
つまり、「どっちも良さそうだからこそ、決めきれない」という状態になりやすいんですね。
オルカンもS&P500も、「長期投資に向いた優秀な選択肢」であることはほぼ共通認識です。
だからこそ、「どっちかが100点で、どっちかが0点」という話ではありません。
この「どっちもアリだからこそ決めにくい」というのが、公務員のみなさんが抱えている最初のつまずきポイントかなと感じています。
公務員ならではの事情(安定収入・副業NG・退職金など)
もうひとつ、「公務員ならでは」の事情も、迷いを大きくしています。
給料は安定しているけれど、急に年収が2倍3倍になる仕事ではない
副業は原則NGで、「投資で一発当てる」みたいなイメージにも抵抗がある
退職金や年金もしっかりあるので、「大失敗だけは避けたい」という気持ちが強くなる
こうした背景があるので、どうしても
「大きく増やすこと」よりも「大きく失敗しないこと」
を優先したくなります。
その結果、
オルカンなら世界に分散してて安心そう
S&P500はリターンが高そうだけど、アメリカだけに集中するのが不安
公務員のNISAはオルカンかS&P500か、どっちが“より安全”なんだろう?
と、「安全側」を探す気持ちが強くなりがちです。
ここで大事なのは、
「どちらを選んでも、短期的に上がったり下がったりは必ずある」
という現実を、まず落ち着いて受け止めることです。
公務員だからと言って、「オルカンなら絶対安全」「S&P500なら絶対に危険」という単純な話ではないんですね。
「どっちが正解か分からない」不安の正体は、リスクより“失敗への怖さ”
多くの方とお話ししていて感じるのは、実はみなさん「リスク」そのものよりも、
「あとから振り返って、自分の選択を後悔すること」
を怖がっている、ということです。
「オルカンを選んだ年はS&P500のほうが上がっていた」
「S&P500を選んだ年は、オルカンのほうが安定していた」
こういう“もしも”を想像してしまって、「自分だけ間違えたくない」という気持ちが強くなります。
でも、現実には
どの年に、どちらがより良い成績になるかは、誰にも分からない
プロの投資家でも、毎年ぴったり当て続けるのはほぼ不可能
です。
つまり、
「公務員のNISAはオルカンかS&P500か、どっちが“正解”か?」
という問い自体が、少し意地悪な質問なのかもしれません。
本当は、
「自分の性格・ライフプラン・お金の不安の強さにとって“続けやすいのはどっちか?”」
と考えたほうが、ずっとラクになります。
この記事では、まさにその「性格・タイプ別」の視点を大事にしていきます。
私(伯爵)が初めてオルカンvsS&P500で悩んだときの話
少しだけ、私自身の話もさせてください。
県職員として働いていたころ、私も最初は「お金がなかなか貯まらない」「お金持ちになりたい」「貯金だけじゃ将来が不安だな」と思い、株式投資を勉強し始めました。
本やネットで調べると、やっぱり「オルカン」と「S&P500」がたくさん出てきます。
「世界に分散できるオルカンが王道!」
「いや、これからもアメリカ経済が強いからS&P500一択!」
情報が多すぎて、正直頭がぐるぐるしました。
「元公務員でFPです」と今は名乗っていますが、当時の私は、完全に普通の“ビビりの初心者公務員”でした。
どっちを選んだら、家計として安心なんだろう
もし暴落したら、家族に何て言えばいいんだろう
こんなことを毎日のように考えながら、なかなか購入ボタンが押せなかったのを覚えています。
最終的に私は、
「完璧な正解を探すのをやめて、まずは少額で“自分の気持ちの揺れ方”を確かめてみよう」
と決めて、まずはオルカンを月2,000円買ってみました。
と同時に、日々S&P500の株価もオルカンと見比べていきました。
すると、
値動きの違い
自分がどれくらいの下落で不安になるか
どっちのほうが“メンタル的に続けやすいか”
- リスクが多少上がってもいいから少しでもリターンを増やしたいのか
が、数字ではなく「感覚」として分かるようになっていきました。
この記事では、当時の私のように、
「公務員として、オルカンとS&P500どっちがいいのか分からない」
と立ち止まっているあなたに向けて、少しずつ霧が晴れていくような話をしていきたいと思っています。
ちなみに、当初は2,000円から始めたオルカンへの投資ですが、現在は投資額も少し増えています(2025年12月2日現在)。
参考までに内訳を書いておきます。
| 商品名 | 投資額 | |
| 私 | SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド | 10,000円 |
| 妻 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 2,000円 |
| 子供 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 3,000円 |
この3商品は同じ証券で私が購入して、私が頭のなかで分けているだけです。
商品名は違いますが、どの商品も全世界株式に広く分散投資できる商品です。
第2章 公務員目線で見る「オルカン」の特徴とメリット・デメリット

オルカンとは?ざっくり一言でいうと「世界まとめてセット買い」
まず、「オルカンってそもそも何?」というところから、やさしく整理しておきますね。
一般的に「オルカン」と言われているのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の愛称です。
この1本で、日本を含む先進国・新興国、約50カ国・数千銘柄の株式にまとめて投資できる商品です。(出典:マネックス証券)
このファンドは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」という世界株式の指数に連動する運用を目指しています。
イメージとしては、
日本
アメリカ
ヨーロッパ
新興国(インドやブラジルなど)
といった世界中の株式市場を、まるごと“セット買い”する感じですね。
「どの国が伸びるか、どの企業が勝つか」を自分で選ぶ必要はなく、“世界経済全体の成長に乗せてもらう”ための投資信託だと思ってもらえればOKです。
オルカンのメリット:分散・ほったらかし・公務員との相性の良さ
オルカンの強みは、なんといっても「分散」です。
国の分散(日本・米国・欧州・新興国など)
企業の分散(数千社レベル)
を1本で実現できるので、「特定の国や企業が不調でも、他の地域や企業がカバーしてくれる」という期待が持てます。
公務員目線で見ると、オルカンにはこんなメリットがあります。
✅ 仕事が忙しくても“ほったらかし”でOK
個別株のように、決算をチェックしたりニュースを追い続ける必要がない
✅ “世界まるごと”なので、国を入れ替える手間がいらない
「今は米国が強いけど、将来インドが伸びたら?」と心配しなくていい
✅ NISA口座1本で「とりあえずの答え」にしやすい
「迷ったらオルカン1本」というシンプルな方針が取りやすい
公務員は本業が忙しかったり、異動で環境がガラッと変わったりしますよね。
私も県職員時代は、残業が多く日々ヘトヘトでした。そんなときでも、「とりあえず毎月これだけオルカンを積み立てておけば、世界全体の成長には乗れている」
という“安心材料”になるのは、公務員にとって大きなメリットだと感じます。
オルカンのデメリット:米国偏重・リターンの“平均点”になりやすい
一方で、オルカンにも弱点・注意点があります。
① 実はけっこう「アメリカに偏っている」
「全世界」とは言いつつ、世界の株式市場の時価総額で見ると、アメリカの比率がかなり大きいのが現実です。
実際、全世界株式指数(MSCI ACWI)やオルカンの中身を見ると、組入比率の半分前後を米国株が占めている時期も多く、上位銘柄も米国の大型IT企業などが並びます。(参考:マネックス証券)
つまり、
「オルカン=完全にアメリカリスクから離れられる」
というわけではなく、
「S&P500ほどではないけれど、結局かなりアメリカの影響を受ける」
という性質があるんですね。
② リターンが“平均点”になりやすい
オルカンは「全世界」を買うので、
すごく伸びている国
いまいち伸びない国
が、全部混ざった形になります。
そのため、
好調な国だけを買う投資(例:米国株だけのS&P500など)
に比べると、リターンはやや控えめになりがち、という側面があります。(参考:マネックス証券)
これをどう受け取るかは人それぞれですが、
「世界の平均点でいいから、極端なブレを避けたい」
「トップを狙うより、“無難に合格点”を取りたい」
というタイプの人には、かえって合っているとも言えます。
「公務員でオルカンを選ぶなら、こういう人に向いています」
ここまでを踏まえて、「公務員のNISAで、オルカンを選ぶと相性が良さそうな人」をざっくりまとめると、こんなイメージです。
✅ 投資に割く時間や気力はあまりないけど、NISAは活用したい
✅ 「公務員 オルカン S&P500 どっち」と調べて、まだ迷っている
✅ 個別株や為替を追うのはストレスに感じる
✅ 「世界経済全体が長期的に伸びるならそれでいい」と思える
✅ 多少リターンが平均点寄りでも、「大きな外れ」を避けたい
逆に、
「多少の値動きは気にしないから、とにかくリターン重視で行きたい」
「アメリカの成長に賭けてもいいと思っている」
という人は、S&P500寄りのほうがフィットする可能性もあります。
このあたりは、第3章「公務員目線で見るS&P500」で、もう少し詳しく整理していきますね。
第3章 公務員目線で見る「S&P500」の特徴とメリット・デメリット
S&P500とは?「アメリカの代表企業500社まとめ買い」
次に、「S&P500」について公務員目線で整理してみます。
S&P500とは、アメリカの代表的な上場企業500社で構成される株価指数(インデックス)のことです。
イメージとしては、
「アメリカ経済を代表する500社を、まるごと1セットで買うパック」
のようなイメージでOKです。
有名なIT企業や、生活に身近なブランド企業も多く含まれていて、アメリカ経済全体の“元気さ”にまとめて投資している感覚になります。
オルカンが「世界まとめてセット買い」なのに対して、S&P500は「アメリカ一本にしぼったセット買い」だと言えます。
S&P500のメリット:過去の高いリターン・シンプルさ・情報量の多さ
S&P500は、投資の世界でもとても人気があり、「インデックス投資といえばS&P500」と言われることも多いです。
公務員のNISAでS&P500を選ぶメリットは、ざっくりこんな感じです。
① 過去のリターンが高かった期間が長い
あくまで「過去の話」ではありますが、アメリカ経済は長期的に成長を続けてきました。
その結果、「全世界株式(オルカン系)」よりも、「アメリカ株(S&P500)」のほうがリターンが高かった期間が長い、というデータも多く紹介されています。
もちろん「未来も必ずそうなる」とは言えませんが、「これまでの実績」がある程度たくさんあるというのは、投資初心者にとって安心材料になりやすいポイントです。
② 仕組みがシンプルで分かりやすい
「世界中の国が入っていて…」というオルカンにくらべると、「アメリカの代表企業500社です」というS&P500のほうが、イメージしやすい人も多いです。
ニュースでもアメリカ株の話題が多い
書籍やYouTube、SNSでもS&P500の情報はたくさんある
といった理由から、情報を集めやすく、勉強もしやすいのが特徴です。
③ 情報量が多いので、不安になったとき調べやすい
公務員として働きながらNISAを続けていると、「最近S&P500が下がっているけど大丈夫かな…」と不安になるタイミングが、きっと何度か来ます。
そのときに、
解説記事
書籍
ブログ・動画
など、日本語情報がとても豊富なのがS&P500の強みです。
分からないときにすぐ調べられる、というのは、メンタル面ではかなり大きな安心材料になります。
S&P500のデメリット:米国一国集中リスク・円高時のブレ
もちろん、S&P500にも注意点があります。
① アメリカ一国に集中している
S&P500は、アメリカの企業だけで構成されています。
もし今後、
アメリカ経済の成長が鈍る
他の国(インドや新興国など)のほうが大きく伸びる
ということが起きた場合、「全世界に分散投資しているオルカン」に比べると、成績が見劣りする可能性があります。
つまり、「世界の中で、アメリカという一国に賭ける比率が高い」というのがS&P500の性格です。
この「米国集中」を、
チャンスと見るか
リスクと感じるか
は、人それぞれですね。
② 為替(円高・円安)の影響を受ける
S&P500に投資する投資信託の多くは、ドル建ての資産(米国株)に円から投資する形になります。
そのため、
円安のときには、円で見た評価額が増えやすい
円高になると、株価があまり変わっていなくても、円換算では目減りして見える
という「為替のブレ」も、成績に影響してきます。
長期で見れば、為替の上下はある程度“行ったり来たり”すると考えられますが、短期的には「せっかく上がってきたのに、円高で評価額が下がった」ということも起こりえます。
為替の動きに一喜一憂しやすい人にとっては、ここがストレスになることもあります。
「公務員でS&P500を選ぶなら、こういう人に向いています」
ここまでをふまえると、「公務員のNISAで、S&P500をメインにするほうが向いていそうな人」は、こんなタイプです。
✅ “世界の平均点”よりも、もう少しリターンを狙いたい気持ちが強い
✅ 「アメリカ経済の成長にある程度賭けてもいい」と思えている
✅ 為替や値動きのニュースを見るのが、そこまで苦にならない
✅ 多少の上下はあっても、「長期目線なら大丈夫」と考えられる
✅ 勉強しながら投資していくのが、ちょっと楽しそうだと感じる
逆に、
「値動きにすごく弱くて、少しの下落でも胃がキリキリする」
「公務員 オルカン S&P500 どっちか決めたいけど、本音では“なるべくブレを減らしたい”」
というタイプの方は、オルカン寄り、もしくはオルカンとS&P500を半分ずつにするような“バランス型”のほうが気持ちがラクかもしれません。
このあたりを、第4章で「タイプ別」にもう少し具体的に整理していきますね。
第4章 公務員はオルカンとS&P500どっち?タイプ別の答えと考え方

リターン重視か?安心感重視か?ざっくり2軸で整理してみる
ここまで読んでなんとなく感じていると思いますが、「公務員 オルカン S&P500 どっち?」の答えは、
あなたが「リターン」と「安心感」どちらをより大事にしたいか
でだいぶ変わってきます。
ざっくり、次の2軸で考えてみてください。
縦軸:リターンをどこまで狙いたいか(控えめ〜しっかり)
横軸:値動きへの強さ(ブレが苦手〜多少の上下はOK)
このイメージでいうと、
● オルカン寄りの人
「世界の平均点でいいから、安心してコツコツ続けたい」
値動きが激しいのはしんどい
● S&P500寄りの人
「長期で見て、少しでも高いリターンを狙いたい」
値動きはある程度仕方ないと割り切れる
● 真ん中の人
どっちの気持ちもあって決めきれない
だからこそ、余計に「公務員 オルカン S&P500 どっち」で検索してしまう
多くの公務員の方と話していて感じるのは、真ん中の人がいちばん多いということです。
だからこそ、「どちらかを完全に切り捨てる」よりも、自分の性格に合わせて“寄せ方”を決めるイメージがしっくりきやすいと思います。
年代別で見る「公務員 オルカン S&P500 どっち?」
次に、ざっくり年代別に考えてみます。
ここでは、あくまで「傾向」としてのイメージです。
20代公務員
投資できる期間が長い
給与はまだ高くないが、今後増えていく可能性がある
👉 個人的には、
「オルカン:S&P500=7:3〜5:5」
くらいの配分で、「少しS&P500に振ってみる」のもアリだと思います。
20代は、多少の値動きに慣れる“練習期間”として、小さめの比率でS&P500を試してみるのは十分ありです。
30〜40代(子育て・住宅ローン期)
教育費・住宅ローン・生活費のプレッシャーが大きい
「大きなミスはしたくない」気持ちが強くなる時期
👉 この年代は、安心感を優先しやすいので、
「オルカン:S&P500=8:2〜9:1」
くらいの「オルカン中心」が気持ちに合う方が多い印象です。
一方で、投資経験が長く、値動きにも慣れている人であれば、もう少しS&P500の比率を上げてもよいかもしれません。
50代手前〜50代
NISAで投資できる期間は、20〜30代ほど長くはない
とはいえ、60代以降も運用自体は続く可能性が高い
👉 この年代で、もし投資経験が浅いなら、
「オルカン多め(場合によってはオルカン1本)」
のほうが、精神的にラクなケースが多いです。
すでに投資歴が長く、自分のリスク許容度が分かっている方は、S&P500を一部持つのももちろんアリです。
「どっちを選んでも大差ない」可能性と、完璧を求めすぎないコツ
少し身もフタもない話をすると、
「オルカンとS&P500、どっちを選んでも長期で見ればそこまで大差ない」
という未来も、十分ありえます。
ある時期はS&P500が勝つ
別の時期はオルカンが勝つ
トータルでは「そこまで極端な差にはならない」
ということも普通に考えられます。
それなのに、私たちはどうしても“そのとき一番有利に見える方”を追いかけてしまいがちです。
今年はS&P500の成績が良かったと聞けば、S&P500に乗り換えたくなる
来年は新興国が伸びたと聞けば、「やっぱりオルカンだったか…」と落ち込む
こうやって乗り換えを繰り返すほうが、むしろ成績を悪くする、という研究結果もあります。
だからこそ、
「どっちが100点か?」ではなく「どっちなら、自分が“続けられる”か?」
を基準に選ぶことが、とても大事になってきます。
私(伯爵)の結論:公務員に多い3タイプ別おすすめパターン
ここまでの話をふまえて、元県職員FPとしての、あくまで一つの“目安”を書いてみますね。
タイプ① とにかく安心第一タイプ
投資はまだ怖い
でも、貯金だけも不安だからNISAは使っておきたい
👉 おすすめイメージ
NISAはオルカン1本
もしくは、オルカン:90%+S&P500:10%(お試し程度)
タイプ② ほどよくリターンも狙いたいタイプ
値動きは多少あってもいい
長期で見て、少しでも増やしたい気持ちが強い
👉 おすすめイメージ
オルカン:S&P500 = 7:3〜5:5
生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)は、別で現金として確保しておく
タイプ③ 決めきれない・真ん中タイプ
「公務員 オルカン S&P500 どっち」で何度も検索してしまう
正直、どちらが自分に合うか分からない
👉 おすすめイメージ
まずはオルカン多め(8:2くらい)でスタート
1〜2年くらい続けてみて、
値動きへの自分の反応
積立額への余裕感
などを見て、少しずつ比率を調整していく
「最初から完璧な比率を当てる」のではなく、「始めながら、自分に合う形に寄せていく」
という感覚のほうが、公務員のNISAとは相性がいいと、私は感じています。
第5章 公務員がオルカンとS&P500を賢く使う3つの実践パターン

パターン① オルカン一本でシンプルにいく【初心者・忙しい人向け】
まずは一番シンプルなパターンです。
NISA=オルカン1本だけ
という形ですね。
「公務員 オルカン S&P500 どっち」と検索して、いろいろ勉強した結果、頭がパンパンになっている方も多いと思います。
そんなときに、あえて
仕組みがシンプル
世界全体に分散
ほったらかし運用しやすい
というオルカン1本にしぼるのは、とても現実的な選択肢です。
たとえば、
毎月:2万円をオルカンで積み立て
ボーナス月:+5万円だけ上乗せ
という形でも、長く続ければちゃんとした金額になります。
オルカン一本の良さは、とにかく迷いが少ないことです。
「今月はどっちを買おう…」と考えなくていい
相場が荒れても、「世界全体を持っている」と思える
忙しいときも、設定さえしておけば自動で淡々と続く
公務員として本業をしっかりこなしつつ、「お金のことは最低限でもやっておきたい」という方には、このパターンがいちばん負担が少ないかなと思います。
パターン② S&P500をメインに、オルカンをサブで持つ【リターンやや重視】
次は、少しリターンを狙いたいタイプ向けのパターンです。
S&P500をメインに、オルカンをサブで少し持つ
という形ですね。
たとえば、
NISA枠での積立配分
S&P500:70%
オルカン:30%
のようなイメージです。
このパターンのイメージは、
基本的には、アメリカ経済の成長ポテンシャルに乗りたい
でも「アメリカ一本はちょっと不安だから、世界も少し混ぜておきたい」
というバランスです。
オルカンを0にしてしまうと、「アメリカがダメだったとき大丈夫かな…」という不安が出やすいですが、
オルカンを2〜3割入れておくことで、「世界全体も少しは持っている」という安心材料になるという効果があります。
S&P500をメインにするパターンは、
値動きがそれなりに大きくなること
アメリカのニュースや為替の動きも多少は気にすることになる
この2つを「まあ許容できるかな」と思える人には、悪くない選び方だと思います。
パターン③ 両方少しずつ買って「自分の答え」を数年かけて見つける
3つめは、決めきれない人向けの“実験パターン”です。
オルカンとS&P500をだいたい半分ずつ持ってみる
という形ですね。
たとえば、
オルカン:50%
S&P500:50%
あるいは、
オルカン:60%
S&P500:40%
くらいでもOKです。
このパターンの目的は、「正解を先に決める」のではなく「数年かけて、自分にとっての正解を“体感”で見つける」ことです。
実際に両方を持ってみると、
相場が上がったときのうれしさ
下がったときの不安の大きさ
ニュースに対して、どれくらい心が揺れるか
が数字ではなく肌感覚で分かってきます。
そのうえで、
「S&P500の値動きがちょっとしんどいな」と感じたら、
→ 徐々にオルカンの比率を増やしていく「このくらいの上下なら全然大丈夫」と感じたら、
→ S&P500の比率を少しずつ上げていく
というふうに、あとから微調整していけばOKです。
私も、公務員時代から少しずつ比率を変えながら、「このくらいのブレなら安心して持っていられるな」と感じるポイントを探ってきました。
「公務員 オルカン S&P500 どっち」と何度も検索してしまう人ほど、この“実験パターン”はおすすめです。
毎月いくら積み立てる?ボーナスの使い方も含めた公務員向けシミュ例
「パターンは分かったけど、実際いくら積み立てればいいの?」という疑問も出てきますよね。
ここでは、あくまでイメージとして、手取り月収25万円前後の公務員を例にしてみます。
① 毎月の積立額の目安
まず大事なのは、「生活費+予備費を確保したうえで、ムリのない範囲で」ということです。
目安としては、「毎月の手取りの5〜10%」くらいから始める人が多いかなと思います。
手取り25万円なら:月1.2万円〜2.5万円くらい
このくらいなら、
急な出費があっても破綻しづらい
生活の満足度を大きく下げにくい
というバランスになりやすいです。
② ボーナスの一部を「未来の自分」にまわす
ボーナスが出ると、
家族サービス
家電の買い替え
旅行
などに使いたくなりますよね。
それ自体はとても良いことです。
そのうえで、もし余裕があれば、ボーナスの1〜2割だけをオルカンやS&P500の積立に回すというのもおすすめです。
たとえば、
ボーナス:手取り40万円
そのうち4〜8万円だけ、NISA枠で投資信託を追加購入
というイメージですね。
毎月の積立額を無理に増やさなくても、ボーナスの「少しだけ」をコツコツ積み増していくと、10年・20年のスパンではかなり違いが出てきます。
③ 夫婦公務員・共働きの場合
夫婦共に公務員、あるいは片方が公務員の場合は、
夫婦でどちらがオルカン、どちらがS&P500
もしくは、二人ともオルカン多め+片方だけS&P500少し
- 夫婦それぞれでオルカンの違う商品を購入
といった「役割分担」も考えられます。
たとえば、
夫:オルカン多め(8:2)
妻:S&P500多め(3:7)
のようにしておくと、世帯全体では「世界に分散しつつ、アメリカにもある程度賭けている」というバランスになったりします。
もちろんこれは一例なので、ご家庭の価値観や家計の状況に合わせて、ゆっくり相談して決めていけば大丈夫です。
ここまで読んだあなたが、今できる小さな一歩
この第5章を読んだタイミングで、もし時間があれば次の3つをメモしてみてください。
自分が一番しっくりきたのは
「オルカン一本」
「S&P500メイン+オルカンサブ」
「半分ずつ実験」
のどれか?
毎月、心の負担なく出せそうな金額はいくらか?
(例:1万円、1万5千円、2万円…)ボーナスから「未来の自分」に回してもいいと思える割合は何%か?
この3つが決まると、「公務員のNISAはオルカンかS&P500かどっちにするか?」という悩みが、「このパターンでまず1年やってみよう」に変わっていきます。
第6章 公務員が長く投資を続けるためのメンタル・注意点

相場が下がったとき、公務員がやりがちなNG行動
NISAでオルカンやS&P500を買い始めると、必ずどこかで「評価額がマイナスになる時期」がやってきます。
そのときに、公務員の方がやりがちなNG行動がこちらです。
❌ 評価額がマイナスになった瞬間に、あわてて全部売ってしまう
❌ 毎日毎日、残高を見て一喜一憂してしまう
❌ SNSで他の人の成績と比べて落ち込む
❌ 「公務員 オルカン S&P500 どっちが正解だったのか」と延々と検索する
気持ちはとてもよく分かります。
でも、長期投資の世界では、
評価額が上下するのは“正常なこと”
一時的なマイナスは、「長い旅の途中の通過点」
くらいに考えたほうが、むしろ自然です。
一番避けたいのは、
「一時的な不安で売ってしまい、その後の回復・成長を逃してしまうこと」
なんですよね。
「毎日残高を見て不安になる」を減らすちょっとした工夫
評価額を見てドキドキしてしまうときは、「自分でできる仕組みづくり」で、不安を減らしていくのがおすすめです。
たとえば、こんな工夫があります。
✅ 残高チェックは“月1回だけ”と決める
日々の値動きより、「増えたり減ったりしながら、少しずつ育っているか」を見る
✅ スマホのトップ画面から証券アプリを外す
わざわざ開かないと見られないようにする
✅ 「積み立て設定」と「積立額」だけを意識する
評価額より、「今月もちゃんと積み立てられているか」を重視
公務員の仕事も同じで、日々の細かいトラブルに振り回されすぎると、「そもそも何のためにこの業務をしているのか」が見えにくくなりますよね。
投資も同じで、「長期で資産を育てる」というゴールを思い出しつつ、日々の“ノイズ”との距離感を決めていけると、ずっとラクになります。
公務員だからこそ意識したい“本業優先”のスタンス
もうひとつ、大事なポイントがあります。
それは、「投資に気を取られて、本業に支障を出さないこと」です。
相場が気になりすぎて、仕事中に何度もアプリを開いてしまう
下落がショックで、仕事に身が入らなくなる
逆に含み益が増えて、仕事がおろそかになる
こうなってしまうと、本末転倒ですよね。
公務員のいちばんの強みは、「安定した収入が、毎月・毎年積み重なっていくこと」です。
オルカンやS&P500は、その「安定収入」という土台があるからこそ、コツコツ続けていける投資だとも言えます。
ですから、スタンスとしては、
「本業(公務員としての仕事)=土台」
「NISAでの投資=将来へのプラスアルファ」
くらいの気持ちでちょうどいいと思います。
今日からできる「小さな一歩」と、失敗してもやり直せるという話
最後に、メンタル面でいちばんお伝えしたいのは、
「完璧にできなくても大丈夫」
「多少の失敗をしながら、自分のペースを見つけていけばいい」
ということです。
積立額が多すぎてしんどくなったら、途中で減らしてもいい
オルカンとS&P500の比率を、あとから変えてもいい
一度やめてしまっても、また余裕ができたときに再開してもいい
投資は、「一回きりのテスト」ではなく「長い付き合い」です。
私自身も、公務員を辞める前後、結婚前後、子供の誕生前後で投資額や商品を調整しながら、何度も「やり方」を見直してきました。
大事なのは、
「公務員 オルカン S&P500 どっちが100点か?」ではなく、
「今の自分が、心地よく続けられる形はどれか?」
を、少しずつ探していくこと。
そのプロセス自体が、お金との付き合い方をやわらかくしてくれると感じています。
まとめ:公務員のNISAはオルカンかS&P500か?完璧じゃなくて大丈夫
ここまで、「公務員 オルカン S&P500 どっち?」というテーマで、公務員目線の考え方をお話ししてきました。
あらためて、ポイントをぎゅっとまとめると…
✅ オルカンは「世界まとめてセット買い」
分散が効いていて、ほったらかし運用と相性がいい
リターンは“世界の平均点”になりやすいけれど、そのぶん安心感がある
✅ S&P500は「アメリカ代表500社まとめ買い」
過去のリターンが高かった期間が長く、情報も豊富
米国一国集中&為替のブレを受け入れられるかがポイント
そして結局のところ、
「どっちが100点か?」ではなく
「どっちなら、自分が続けやすいか?」
がいちばん大切です。
公務員としての安定した収入という土台があるからこそ、
オルカン一本でシンプルに続けるのもいい
S&P500を少し混ぜて、リターンを狙いにいくのもいい
両方半分ずつ持って、数年かけて自分の答えを見つけるのもいい
「こうしなければならない」という正解はありません。
あなたへのメッセージ:完璧でなくて大丈夫です
もしかすると今、
間違った選択をするのが怖い
損をしたくない
家族に迷惑をかけたくない
そんな気持ちが、胸のどこかにあるかもしれません。
その気持ちは、とてもまっとうですし、公務員としてまじめに働いてきたからこその優しさだと思います。
でも、NISAでの投資は、
「一度で完璧にやりきるもの」ではなく「少しずつ慣れながら、自分なりのやり方を育てていくもの」です。
最初の一歩は、小さくて構いません。
比率も、積立額も、途中で変えて構いません。
「今の自分にできる小さな一歩から始めてみましょう。」
その一歩を積み重ねていければ、数年後・十数年後のあなたは、きっと今よりも「お金との距離感」がやさしくなっているはずです。
