NISAを始めてしばらく経つと、
「で、いつ売ればいいんだろう…?」
という新しい悩みが出てきますよね。
せっかく増えてきた資産を、どこで現金にすればいいのか。
公務員だとなおさら、
「頻繁に売買していて大丈夫かな?」
「職場に知られて怒られないかな?」
と、普通の会社員よりも慎重になりがちだと思います。
私も県庁職員だったころ、NISAや投資信託を始めたものの、「売るタイミング」が怖くてなかなか動けない時期がありました。
値動きに一喜一憂して、夜にスマホで株価を見てはソワソワ…そんな自分に少し疲れてしまったのを覚えています。
結論から言うと、公務員でもNISAを使って資産運用してよいですし、ルールの範囲であれば売却して現金化しても問題ありません。
大事なのは、「いつ売るか」を制度の期限ではなく、あなたの目的と生活から考えることです。
この記事を読むと、
公務員でもNISAを売って大丈夫なのか?という不安
「売っていいタイミング」と「待ったほうがいいタイミング」の違い
新NISA・旧NISAそれぞれで、売るタイミングをどう考えればいいか
公務員ならではの、共済年金やiDeCoと組み合わせた出口戦略のイメージ
が、やさしく整理できるようになっています。
難しい専門用語はできるだけかみ砕いて、「今の自分ならどうするかな?」と考えやすいようにお伝えしますね。
第1章 公務員でもNISAを売って大丈夫?制度とルールの基本

NISAの基本と「売っても非課税」の仕組みをサクッと確認
まずは、そもそもNISAってどんな制度かをかんたんに整理しておきましょう。
NISAは「投資で得た利益に税金がかからない」制度
株や投資信託などの値上がり益(売却益)や分配金・配当金が非課税になる
新NISAでは、非課税で投資できる枠が大きくなり、期間も事実上“無期限”に
ここでポイントなのが、
「売ったら課税される」のではなく、「NISA口座の中で売っても、その利益には税金がかからない」
ということです。
つまり、NISAの中で
10万円で買った投資信託が20万円になって売却しても
その10万円の利益に対して、通常ならかかる約20%の税金がゼロになります。
「売るタイミング」を考えるとき、「売ったら税金がかかるからどうしよう…」と心配される方も多いのですが、NISA口座内での売却であれば、その心配はいりません。
そのうえで、
いつまでに売らないといけないのか
公務員が売却しても大丈夫なのか
という不安を順番にほどいていきましょう。
公務員でもNISA・売却はしてOKな理由(副業規制との関係)
次に、多くの公務員の方が気にされるのが、
「投資って“副業禁止”に引っかからないの?」
というところですよね。
結論から言うと、一般的な範囲での株式・投資信託・NISAでの運用は、公務員でも認められています。
副業禁止の対象になるのは、
事業的に継続して収入を得る
会社を経営する
アルバイトをする
といった「労働や事業」にあたるケースです。
一方で、
NISAで投資信託をコツコツ積み立てる
必要に応じて売却して現金化する
といった「資産運用」や「財産管理」の範囲であれば、多くの自治体・省庁で問題ないとされています。
私が県職員だったころも、同僚たちがiDeCoや投資信託、NISAを活用していましたが、「ちょっと株を売ったから懲戒処分になった」という話は一度も聞いたことがありませんでした。
もちろん、
勤務時間中に頻繁に売買して仕事に支障が出る
内部情報を利用したインサイダー取引をする
といった行為は論外ですが、常識的な範囲での長期投資・資産運用であれば、公務員でも心配しすぎなくて大丈夫です。
公務員がNISAを使う時に気をつけたいポイント(頻繁売買・情報発信など)
とはいえ、「公務員」という立場上、少しだけ意識しておきたい点もあります。
投資に熱中しすぎて、本来の業務に支障が出てしまうのは本末転倒
SNSやブログで、投資情報を有料で販売する・アドバイス業をするのは、副業に近くなる
このあたりは、各自治体の服務規程や副業に関する内規によっても違いがあります。
迷ったときは、
人事課やコンプライアンス担当
公務員向けのリーフレット(総務省などが出しているもの)
を一度確認しておくと安心です。
ただし、この記事のテーマである
「公務員 NISA 売るタイミング」
という“売却そのもの”については、あくまで自分の財産の管理の範囲内で行うものであり、問題になることはありません。
公務員がNISAを売るタイミングは「3つの軸」で考える
ここまでで、
公務員でもNISAを使って資産運用してよいこと
NISA口座内で売却しても、利益は非課税であること
を確認しました。
では、いよいよ本題の
「公務員がNISAを売るタイミングはいつがいいのか?」
です。
ここで大事なのは、「株価が上がったから売る」「なんとなく不安だから売る」ではなく、次の3つの軸から考えることです。
目的の軸
そのお金は、何のために、いつ頃使う予定のものか?
生活の軸
今の家計状況や貯金額を考えて、売るべきか・まだ持っていても大丈夫か?
メンタルの軸
値動きにどれくらい耐えられるか?夜眠れないほど不安になっていないか?
この3つの軸が整っていれば、たとえ含み益がまだ伸びそうでも「今売る」という選択が正解になることもありますし、逆に一時的に下がっていても、「まだ売らない」が正解になることもあります。
第2章 公務員がNISAを「売っていい」5つのタイミング

「売らない方がいい」という話はよく見かけますが、実は「ここなら売っても大丈夫」という場面もちゃんとあります。
ここでは、公務員の立場・家計事情をふまえて、NISAを安心して売っていい5つのタイミングをお伝えしますね。
① 老後資金・教育資金など、もともとの目的を達成したとき
NISAはあくまで「将来このお金を使うための箱」です。
教育資金として15年後に使うつもりだった
60歳以降の生活費の足しにしたいと思っていた
こうした「目的と時期」に近づいてきたら、少しずつ売却して現金や預金に移していくのは、むしろ堅実な判断です。
目的を果たすために NISA を使っただけなので、「せっかく増えたのに売ってしまっていいのかな…」と自分を責める必要はまったくありません。
むしろ、「目標に届いたのだから、ここで一度ゴールテープを切る」というイメージで、堂々と売ってOKです。
② 生活防衛資金が足りず、「このままだと家計が苦しい」と感じたとき
公務員とはいえ、
出産や育休
住宅購入
親の介護
思わぬ病気
などで、一時的に出費がドンと増える時期があります。
そんなとき、「貯金がほとんどないのに、NISAだけは絶対に崩さない」と意地を張り続ける必要はありません。
目安として、
生活費の3〜6か月分程度の現金
突発的な出費に備えるクッション資金
が確保できていない場合は、NISAを一部売却して、生活防衛資金を厚くするのも立派なリスク管理です。
「公務員 NISA 売るタイミング」で悩んでいる方の多くが、実はこの生活防衛資金が心もとないケースだったりします。
③ 資産配分(ポートフォリオ)が大きく崩れたときのリバランス
たとえば、
当初は「株式50%・債券50%」のつもりだった
オルカンなど株式系が大きく値上がりして、気づけば「株80%」になっていた
こんなときは、一部を売却してバランスを整える(リバランス)のもとても合理的な「売るタイミング」です。
リバランスの目的は、
「増えすぎた部分を少し売る」ことで
全体のリスクを抑え、将来のブレを小さくすること
です。
短期の値動きではなく、「自分が許容できるリスクの範囲に戻す」ための売却なので、これはむしろ“攻め”ではなく“守りの売却”になります。
④ 夜眠れないほど不安になり、リスク許容度を超えていると感じたとき
数字だけを見れば、長期で持ち続けた方が有利なことも多いです。
でも、現実には
毎日スマホで評価額をチェックしてしまう
少し下がるだけで胃がキリキリする
仕事中も値動きが気になってしまう
ここまで来ると、「投資が生活の質を下げている」状態ですよね。
そんなときは、
「NISAを全部やめる必要はなくても、一部を売却して投資額を減らす」
ことで、心の負担を軽くするのも立派な選択です。
投資は「増やすための道具」であって、あなたの心を追い詰めるためのものではありません。
メンタル面で限界を感じたら、「ここまでは頑張った」と自分をねぎらって、少し引き算する勇気を持っても大丈夫ですよ。
⑤ 異動・転勤・退職など、公務員ならではのライフイベントの節目
公務員には、公務員ならではの大きな転機があります。
人事異動で生活スタイルがガラッと変わる
転勤で引っ越し費用がかさむ
退職・再任用・民間転職など、働き方が変わる
こうしたタイミングは、お金の流れ、家計の固定費、将来設計を見直す大チャンスです。
このとき、
これからも同じ額を積み立て続けてよいか
一部を売却して、住宅費や教育費の原資に回すか
退職後の生活をイメージして、取り崩しのスタート時期を考えるか
を、落ち着いて検討してみると良いですね。
【伯爵の体験談】私が公務員時代に「一部売却してよかった」と感じたケース
私自身、県庁職員として働いていたころ、「できるだけ売らずに長期で持つべきだ」と思い込んでいました。
でもある時期、「車の買い替え」が必要となりました。
私はローンが嫌いなので、一括で購入することにこだわっていましたが、貯金が足りていませんでした。
そんなときに、NISAではなく特定口座分も含めて一部を売却し、現金化し、車を一括で購入することができました。
「もっと持っていれば、将来もっと増えていたかも」と思わなくもないですが、
「あのときの車を一括で購入して生活の質を向上させる」という意味では、あれがベストの売るタイミングだった
と、今では納得しています。
公務員のあなたにも、「増やす」だけでなく「生活の質を守るために売る」という選択肢があることを、ぜひ覚えておいていただけたらなと思います。
第3章 まだ売らない方がいい?よくあるNGな「売るタイミング」

ここからは、「公務員 NISA 売るタイミング」でよくある“もったいない売り方”を整理していきます。
どれもやってしまいがちなパターンなので、「自分も当てはまりそうかも…」と感じたところだけでも読んでみてくださいね。
「最近ちょっと下がったから…」だけで感情的に売ってしまうケース
NISAを始めたばかりの頃は、
前日より少し評価額が減っている
買ってから数週間でマイナスになっている
だけで、「失敗したかも…」と不安になるものです。
このとき、
「このまま減り続けたらイヤだから、とりあえず今のうちに売っておこう」
と、短期の値動きだけで判断してしまうのは、長期投資としてはかなりもったいないパターンです。
本来、NISAは
10年、20年といった長い時間を味方につける制度
途中の上げ下げは前提のうえでコツコツ積み立てていく
というイメージで作られています。
「公務員 NISA 売るタイミング」を考えるとき、“数週間〜数か月の値動き”ではなく、“数年〜数十年の目的”を軸にするのが基本です。
暴落時に恐怖で投げ売りしてしまうケース
ニュースで
「世界同時株安」
「過去最大の下げ幅」
といった見出しを見ると、
どんな人でもドキッとしてしまいますよね。
グラフがガクンと下がるのを見ると、
- 「このままゼロになるんじゃないか」
- 「今売らないと、取り返しがつかなくなるのでは」
と、頭の中が不安でいっぱいになりがちです。
でも、歴史を振り返ると、
リーマンショック
コロナショック
など、大きな暴落のたびに大騒ぎになりながらも、長い時間をかけて市場は何度も回復してきました。
暴落の真っ最中に「怖いから全部売る!」と投げ売りしてしまうと、
安くなったところで売ってしまう
その後の回復・上昇の恩恵を受けにくくなる
という、二重の意味でもったいない結果になりかねません。
もちろん、生活費も危ういほど追い込まれているなら別ですが、「ニュースを見て怖くなったから」だけで売るのは、一度立ち止まって考えたいところです。
SNS・ニュースの煽りで焦って売ってしまうケース
最近は、
「今すぐ売らないと危ない」
「大暴落前に逃げろ」
といった強い言葉が、SNSや動画サイトでたくさん流れてきます。
こうした情報は、見る人の不安を刺激するように作られていることも多く、
「自分だけ何もしていないのはマズいのでは…?」
という気持ちにさせられてしまいます。
でも、よく考えてみると、
その人はあなたの家計状況も
貯金額も
公務員としての立場も
何も知らない「どこかの誰か」です。
あなたの人生のハンドルは、あなた自身が握っていて大丈夫。
「SNSがこう言っていたから」だけで売るのではなく、
自分の目的
自分の生活
自分のメンタル
に照らして、落ち着いて判断していきましょう。
「元本だけでもとりあえず回収したい」と焦る気持ちとの付き合い方
評価額がプラスになってくると、「とりあえず元本分だけでも回収しておきたい」という気持ちが出てきます。
この気持ち自体はとてもよく分かりますし、一部を売って安心するというのも一つの選択肢です。
ただし、
元本を回収することが目的化してしまい
本来の「将来に備える」という目的がぼやけてしまう
と、長期投資のメリットを取り逃してしまうこともあります。
「元本回収」を考えるときのポイントは、
なぜ回収したいのか?(不安だから?使い道があるから?)
回収したお金をどう使うのか?(生活防衛資金?大きな買い物?)
を、セットで考えることです。
ただ「怖いから」「なんとなく」ではなく、お金に次の役割を与えたうえで売るなら、それは十分に意味のある判断です。
下がっているときにこそ見直したい、目標と時間軸の整理のしかた
ここまで見てきたNGパターンの多くは、
目標
いつ頃使うお金なのか(時間軸)
があいまいなまま、目先の値動きだけを見て判断してしまっているところに原因があります。
もし今、
評価額がマイナスで不安
売るかどうか決めきれない
という状態なら、一度ノートやメモに、
このお金は、何のために貯めている?(老後・教育・住宅 など)
そのお金を、いつ頃から・どれくらい使う予定?
今の生活費と貯金額を見て、どれくらいリスクを取れる?
と、自分なりの答えを書き出してみるのがおすすめです。
そうすることで、
「あ、これは10年以上先のお金だから、今のマイナスはまだ気にしなくていいかも」
「これは3年後に使う予定だから、一部は安全な場所に移しておこう」
といったように、値動きではなく“目的と時間軸”で売るタイミングを決めやすくなります。
第4章 新NISAと旧NISAで変わる「売るタイミング」の考え方

「いつ売るか?」を考えるとき、新NISAと旧NISAの違いが頭の中でごちゃごちゃになっていると、それだけで不安が増えてしまいます。
この章では、難しい専門用語をできるだけ避けながら、
新NISAでは「期限」をどこまで気にすべきか
旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)の商品はどう考えるか
を整理していきますね。
新NISAのポイント整理(非課税期間が無期限・生涯投資枠・売却で枠復活)
まずは、2024年から始まった新NISAの基本だけサクッと確認しておきましょう。
新NISAは、ざっくり言うとこんな制度です。
非課税期間は無期限(「いつまでに売らないと課税になる」は基本ナシ)
生涯で使える非課税の上限枠は1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)
年間で投資できる金額は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
NISA口座の中で商品を売却すると、その分の枠は翌年以降に再利用できる
ここで大事なのは、
「新NISAは“何年までに売らないといけない制度”ではない」
という点です。
このおかげで、「期限が来るから慌てて売る」という発想は基本的に不要になりました。
新NISAでは「いつまでに売らないと損」という期限は基本的にない
旧NISAのころは、
一般NISA:非課税期間5年
つみたてNISA:非課税期間20年
と、「非課税で持っていられる年数」に期限がありました。
そのため、
「5年経ったらどうすればいいの?」
「20年後に一気に売るの?」
といった不安や相談がとても多かったんですね。
一方、新NISAでは非課税期間が無期限なので、
「期限ギリギリだから、今の価格で無理に売らないといけない」
「せっかく上がっているけど、期限だから仕方なく売る」
といった“制度都合の売却”をしなくてよくなりました。
これは、公務員のように長期目線でコツコツと資産形成したい人にとっては、とてもありがたいルール変更です。
ですから、新NISAについては、「いつまでに売るか?」よりも、「どんな目的で・いつ頃から使うお金か」を軸に考えていけば大丈夫です。
旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)の非課税期間と、売却・払い出しの考え方
とはいえ、「もう旧NISAで買っている商品があるんだけど…」という方も多いと思います。
旧NISAのポイントをかんたんに整理すると、
2023年までに買った分は、そのまま一定期間は非課税のまま保有できる
一般NISAは最長5年、つみたてNISAは最長20年
非課税期間が終わるタイミングで、
売却する
課税口座(特定口座など)に移して保有を続ける
といった選択が必要になります。
ここで大事なのは、
「旧NISAだからといって、満期になったら必ず売らないといけないわけではない」
ということです。
まだ使う予定が10年以上先
値動きにもそこまで不安を感じていない
という場合は、課税口座に移して持ち続ける選択も、十分にアリです。
逆に、
そろそろ教育費やリフォーム資金として使う予定がある
生活防衛資金として現金を厚くしておきたい
という場合は、非課税期間の終了をきっかけに、一部または全部を売却するのも一つの選択肢になります。
公務員の退職金・共済年金とNISAの役割分担
公務員の場合、
退職金
共済年金(現在は厚生年金と一元化されていますが、イメージとして)
といったある程度の老後の土台が用意されています。
そのうえでNISAは、
「老後のゆとり資金」
「教育費や住宅費の一部」
といった“プラスαの安心”をつくるための器として使うイメージがしっくりきます。
ですから、
退職金を受け取るタイミング
共済年金(厚生年金)の受給開始
子どもの独立や住宅ローン完済
などの節目に合わせて、
「公務員としての土台(年金・退職金)+NISAの積立分」
をセットで眺めてみると、「どのタイミングで、どのくらいNISAを取り崩していくか」が見えやすくなります。
「旧NISAはどうする?」「新NISAはどう育てる?」ざっくりロードマップ
最後に、イメージしやすいように、
すでに旧NISAで運用している人
これから新NISAを育てたい人
向けに、ざっくりしたロードマップを書いてみますね。
旧NISAの商品を持っている場合
非課税期間が終わる時期を確認する
その時期に、
まとまった資金ニーズ(教育費・住宅など)があるか
特に使い道がなければ、課税口座へ移し長期保有も検討
家計の状況を見ながら、
一部売却して生活防衛資金を厚くする
一部はそのまま資産形成用として持ち続ける
新NISAをこれから育てていく場合
「何のためのお金か」「いつ頃使うイメージか」をざっくり決める
生活防衛資金が整ったうえで、つみたて投資枠を中心にコツコツ積立
「期限」ではなく、
ライフイベント(子どもの進学、退職など)
ポートフォリオのバランス
メンタルの状態
を見ながら、
必要なときに少しずつ売却
使う予定がない分は、そのまま長期で保有
という流れをイメージしておくと安心です。
第5章 公務員ならではのNISA出口戦略【共済年金・iDeCoとの組み合わせ】

ここからは、「公務員としての年金・退職金」と「NISA・iDeCo」をどう組み合わせるかを、イメージしやすい形で整理していきます。
公務員の年金(共済年金・厚生年金)とNISA・iDeCoの位置づけ
公務員は、一般の会社員に比べると
退職金が比較的しっかりしている
厚生年金(旧・共済年金)も、一定の水準が期待できる
という「土台」があるケースが多いです。
そのうえで、
iDeCo:原則60歳まで引き出せない“老後専用の貯金箱”
NISA:必要になったときに売却して使える“柔らかめの資産”
と考えると、役割分担が少し見えてきます。
年金・退職金=最低限の生活の土台
NISA・iDeCo=「ゆとり」や「安心の上乗せ」
というイメージですね。
給料が安定しているうちにNISAを育て、退職後に少しずつ取り崩す
公務員の強みは、
給与が急にゼロになるリスクが低い
転職やリストラが比較的少ない
という安定性です。
この安定している現役時代に、
生活防衛資金をしっかり確保したうえで
毎月、無理のない額をNISAで積み立てる
ことで、将来の“取り崩し候補”を育てていくイメージが持ちやすくなります。
退職後は、
まずは年金・退職金をベースに生活
大きな出費(リフォーム・旅行・子や孫への援助など)があるときにNISAの一部を売却して充てる
日々の生活費が苦しくなってきたら、毎年少しずつNISAから取り崩して補う
というように、「必要なときに少しずつ使うお財布」としてNISAを位置づけておくと安心です。
共働き・片働き・子育て中…3パターンでざっくり考える
家庭の形によっても、NISAの出口戦略は変わってきます。
ざっくり3つのパターンでイメージしてみましょう。
パターン① 共働き公務員夫婦
夫婦ともに公務員で、年金・退職金は2本立て
現役時代の手取りも比較的安定
この場合は、
iDeCo:老後専用として少額でもコツコツ
NISA:将来のゆとり資金(旅行・早期退職のクッションなど)
として育てておき、退職前後からNISAを少しずつ取り崩すイメージが合いやすいです。
パターン② 片働き公務員+専業(パート)配偶者
世帯収入は共働きほど高くない
将来の年金も、公務員一人分がメイン
この場合は、
まずは生活防衛資金をしっかり確保
余裕が出てきたら、NISAを「老後+教育費の予備」として積み立て
教育費のピークが過ぎたら、老後資金向けに温存
という流れが現実的です。
退職後は、公的年金+NISAの一部取り崩しで「ちょっとゆとりのある生活」を目指すイメージです。
パターン③ 子育て真っ最中の公務員家庭
教育費・住宅費が重なりやすい時期
将来の見通しが立ちづらく、不安も大きい
この時期は、
無理に拠出額を増やさず、「続けられる額」でNISAを継続
大きな出費が見えてきたら、一部を教育費などに回す
子ども独立後は、残りを老後用として長期で保有
といったように、NISAを“教育費にも老後資金にもなり得る柔軟な資産”として使っていくイメージを持つと、気持ちも少しラクになります。
「どの口座から取り崩すか?」税金と使い勝手のざっくりイメージ
実際にお金を使う段階になったときは、
iDeCo
原則60歳まで引き出せない
受け取り方によって税金の扱いが変わる(退職所得控除・公的年金等控除など)→ 完全に「老後のお金」として温存しやすい
NISA
いつ売却しても、利益部分は非課税
使いたいタイミングで柔軟に現金化できる
普通預金・定期預金
使い勝手は一番良いが、増えにくい
という特徴があります。
ですから、
生活費や急な出費 → 預金・NISAの順で
老後のベース資金 → 年金・退職金・iDeCo
老後の“上乗せ”や大きなイベント → NISAから少しずつ
というように、「役割の違い」で取り崩す順番を考えると、迷いが少なくなります。
【ミニシミュレーション】コツコツNISAが将来どのくらいの安心になるか
最後に、イメージしやすいようにとてもざっくりしたシミュレーションをしてみますね。
毎月1万円を
年5%で
20年間コツコツ積み立てた場合
ざっくりですが、406万円の資産になります(ここでは年5%増えるとしましたが、もちろん、将来の運用成績は誰にも読めません)。
(参考:金融庁つみたてシミュレーター)
これを、
「65歳〜85歳の20年間で毎年少しずつ取り崩していく」
と考えると、
「年に数十万円の“お小遣い”がある老後」
というイメージも見えてきます。
公務員としての年金・退職金に、こうした「NISAの上乗せ」があるだけでも、老後の安心感はかなり違ってきます。
第6章 公務員がNISAを売る前に確認したい5つのチェックリスト

最後に、「売る」「売らない」を決める前に、一度立ち止まって見直してほしいポイントをチェックリスト形式でまとめます。
ここまでの内容をギュッと圧縮した“最終確認シート”だと思ってくださいね。
チェック1:売却の理由は「目的ベース」になっているか?
まず一番大事なのは、
「なぜ今、売ろうとしているのか?」
です。
その理由が、
老後資金・教育資金などのもともとの目的を達成したから
生活防衛資金を厚くして、家計の安心を優先したいから
資産配分が崩れたので、リバランスしたいから
といった目的ベースのものであれば、売却は前向きな「人生の選択」と言えます。
逆に、
「なんとなく不安だから」
「SNSで“危ない”と言っていたから」
といった他人ベースの理由になっていないか、一度立ち止まって眺めてみましょう。
チェック2:生活防衛資金は十分に確保できているか?
売るか悩んでいるときこそ、現金の「厚み」を確認してみてください。
生活費の何か月分くらいの現金・預金があるか?
急な出費(家電の買い替え、病気、冠婚葬祭など)に対応できそうか?
もし、
生活費1〜2か月分しかない
ちょっとした出費で毎回ヒヤヒヤする
という状態なら、NISAの一部を売却して現金クッションを作るのは、むしろ慎重で賢い判断です。
「公務員だから安定している」とはいえ、現金ゼロで頑張り続ける必要はありません。
チェック3:感情ではなく、ルールに沿って判断できているか?
ここまでお話ししてきたように、
目的
生活
メンタル
の3つの軸から「自分なりのルール」を持っておくと、毎回の相場に振り回されにくくなります。
たとえば、
評価額が何%下がったらどうする、ではなく
「この目的のお金は、あと〇年は使わないから、基本は売らない」
「生活防衛資金が生活費〇か月分を切ったら、一部売却を検討する」
といった自分なりのマイルールを、紙やメモに書き出しておくのがおすすめです。
売る・売らないを迷っているとき、
「これは、あらかじめ決めておいた自分のルールに沿った判断か?」
と自分に質問してみてください。
それだけでも、感情に流されにくくなります。
チェック4:売ったあとのお金の使いみち(次の役割)は決まっているか?
「売る」ことだけに意識が向くと、
売ったはいいけど、なんとなく普通預金に置きっぱなし
結局ダラダラと生活費で消えていく
という、ちょっともったいない状態になりがちです。
売却を検討するときは、
生活防衛資金として〇〇万円は別口座に置いておく
〇年後の教育費として定期預金にしておく
すぐに使う予定がなければ、使い道が決まるまで寝かせる
など、お金の「次の役割」をざっくりでいいので決めておくと、「売ってよかった」と思いやすくなります。
チェック5:配偶者・家族と最低限の共有はできているか?
公務員家庭では、
片方だけが家計や投資をすべて握っている
もう片方は「よく分からないけど、なんとなく任せている」
というケースも少なくありません。
もちろん、全てを細かく共有する必要はありませんが、
NISAでこれくらい積み立てている
売るかどうか迷っている
将来はこういう使い方をイメージしている
といったことを、一度だけでも話題に出しておくと、お互いの安心感がぐっと高まります。
特に、
教育費
住宅費
老後資金
に関する取り崩しは、夫婦・家族の人生にも関わるテーマです。
「こんな考えでこうしようと思うんだけど、どうかな?」
と一言添えて相談するだけでも、「自分1人で抱え込んでいた不安」がスッと軽くなるかもしれません。
「売る/売らない」どちらを選んでもOK。大事なのは、納得して決めること
ここまで、さまざまな角度から
売っていいタイミング
まだ待ったほうがいいタイミング
公務員ならではの出口戦略
をお話ししてきました。
最後に、お伝えしたいのは、
「売る」のが正解でも、「売らない」のが正解でもなく、“自分と家族が納得して決めたかどうか”が一番大事
ということです。
公務員としてまじめに働き、その中でコツコツ積み立ててきたNISAは、あなたと家族の努力の結晶です。
そのお金をどう使うか、いつ売るかを決める権利は、ニュースでもSNSでもなく、あなた自身にあります。
このチェックリストが、少しでもあなたの「納得のいく一歩」の役に立てばうれしいです。
まとめ:完璧なタイミングより「少し安心して一歩踏み出せること」が大事
ここまで、「公務員 NISA 売るタイミング」について、
公務員でもNISAを売って大丈夫なのか
売っていい5つのタイミング
まだ売らない方がいいNGパターン
新NISA・旧NISAの制度の違いと考え方
公務員ならではの年金・退職金との組み合わせ方
売る前に確認したいチェックリスト
を、できるだけやさしく整理してきました。
改めてポイントをギュッとまとめると、
公務員でも、常識的な範囲のNISA・投資信託は「資産運用」であり、原則OK
新NISAは「いつまでに売らないといけない」という期限はなく、目的と生活から売るタイミングを考えればOK
売っていいのは、
- 目的を達成したとき
- 生活防衛資金が足りないとき
- 資産配分の調整(リバランス)をしたいとき
- メンタル的に限界を感じたとき
- 異動・転勤・退職などライフイベントの節目 など
逆に、
- 「最近ちょっと下がったから」
- 「SNSやニュースが不安を煽っているから」
だけで売るのは、一度立ち止まりたいサイン
そして、何よりも大事なのは、
完璧なタイミングを当てることではなく、自分なりに考えて、納得して決めること。
公務員としてコツコツ働きながら、NISAで未来の安心をつくろうとしているあなたは、それだけで十分素晴らしい一歩を踏み出しています。
完璧を目指さなくて大丈夫です。
今の自分にできる範囲で、小さな一歩を重ねていきましょう。
「今日の自分が、将来の自分と家族の味方をしてあげる」
そんな気持ちで、NISAと付き合っていけたらいいですね。
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