「年末調整の紙、よく分からないまま毎年出しているだけです…」
そんな公務員の方、多いんじゃないかなと思います。
とくに、「公務員 年末調整とは」で調べているあなたは、
自分は何をしている手続きなのか
どこまで会社(役所)がやってくれて、どこからが自分の責任なのか
確定申告との違いは何なのか
このあたりがモヤモヤしているのではないでしょうか。
このページでは、そんな過去の自分に話しかけるつもりで、
公務員にとっての「年末調整とは」何をしている手続きなのか
どこまでが“年末調整だけでOK”で、どこからが“確定申告が必要”になるのか
忙しい公務員でも、ここだけ押さえておけば大きく損はしないポイント
を、公務員目線+元県職員FPとしてやさしく整理していきます。
難しい専門用語はできるだけかみくだいて、「完璧に分からなくても、とりあえずこれだけ分かれば大丈夫」というラインをお伝えできればと思います。
では、順に見ていきましょう。
第1章:公務員の「年末調整とは」?まずはやさしく全体像

年末調整とは?公務員・会社員の税金の「精算タイム」
まず一番シンプルにいうと、年末調整とは「1年分の所得税の精算」をする手続きです。
私たち公務員は、毎月のお給料から「所得税」が天引きされていますよね。
でもあれは、あくまで“仮の金額(概算)”なんです。
年間の収入
家族構成(扶養の有無)
保険・共済の加入状況
住宅ローンの有無
こういったものをきちんと反映させないと、「本来払うべき税金の額」は出ません。
そこで、1年の終わりにまとめて「本当はいくらだったか?」を計算し直す。
その作業が、年末調整だと思ってもらえればOKです。
なぜ公務員にも年末調整が必要なのか
「公務員だから、全部役所が勝手にやってくれているんじゃないの?」
私も昔はなんとなく、そんなイメージを持っていました。
たしかに、
給与の支払い
所得税の天引き
年末調整の計算
これらの事務作業は、総務課や給与担当が頑張ってやってくれています。
ただし、肝心な“材料(情報)”は、私たち一人ひとりが出さないといけないんですよね。
結婚した/離婚した
子どもが生まれた
親を扶養に入れた
保険や共済に入った・増額した
住宅ローンを組んだ
こういった“あなたの人生の変化”までは、役所側は勝手に把握できません。
だからこそ、年末調整で配られる書類に 「今年はこう変わりましたよ」と自己申告する必要があるんです。
公務員の年末調整で“調整しているもの”は何か
ここで少しだけ、中身の話もしておきます。
年末調整で調整しているのは、ざっくりいうとこの2つです。
所得税の金額(払い過ぎ or 足りなさ)
その結果として、来年の住民税の金額にも影響
住民税は、厳密には「前年の所得」に基づいて翌年にかかってくる税金です。
年末調整で「去年の所得と控除は最終的にこうでした」と確定させることで、翌年の住民税も決まってくるイメージです。
「所得税と住民税、どっちの話をしているのか分からない…」という方も多いですが、年末調整の現場で直接いじっているのは所得税。
その結果が、翌年の住民税にも連動してくる、と捉えておけば大きなズレはありません。
「よく分からないまま書類を出してもOK?」という不安について
ここまで読んで、いやいや、そんなこと言われても、正直よく分からないまま毎年書いて出してるんだけど…という方も多いと思います。
まずお伝えしたいのは、
「全部を完璧に理解してからじゃないとダメ」ではないこと
ただ、まったく考えずに毎年同じ内容で出し続けると、損をしてしまう可能性があること
この2つです。
なのでこの記事では、
「仕組みを完全にマスターする」のではなく、
「ここだけ押さえれば、致命的な損はしにくい」ポイント
に絞ってお話ししていきます。
第2章:公務員の年末調整とは?対象者・いつ・どこまでやってくれるのか

年末調整の対象になる公務員・ならない公務員
まず、「そもそも自分は年末調整の対象なのか?」というところから整理しておきましょう。
ざっくり言うと、次のようなイメージです。
✅ 対象になる人
一つの役所(勤務先)から継続して給料をもらっている公務員
一般的な県職員・市役所職員・教員・警察官など
△ 場合による人
非常勤職員・任期付職員・再任用職員 など
年の途中で採用・退職した人
→ 場合によっては「年末調整されない(または途中まで)」こともあります
❌ 原則、年末調整の対象外
報酬的な扱いになる講師謝金・委員報酬のみをもらっている人 など
多くの“フルタイムの公務員”は、基本的に年末調整の対象だと考えて大丈夫ですが、「非常勤だけどどうなんだろう?」という方は、給与明細や担当部署からの案内を一度確認しておくと安心です。
年末調整が行われるタイミングと、「給与担当」の裏側
年末調整の書類って、だいたい 秋〜初冬(10〜11月頃) に配られることが多いですよね。
「扶養控除等申告書」
「保険料控除申告書」
必要な人には「住宅ローン控除」関係の案内
などがセットで渡されて、
「○月○日までに課の年末調整担当者へ提出してください」
という感じで締切が設定されていると思います。
給与担当の立場から見ると、このあとに
全職員分の書類の取りまとめ
内容のチェック(不備の確認)
システムへの入力・税額の再計算
年末のボーナス・12月給与に反映
…という流れで、かなりタイトなスケジュールで処理をしてくれています。
だからこそ、私たち一人ひとりが
できるだけ早めに
できるだけ読みやすく・分かりやすく
書類を出してあげると、給与担当の方の負担も減りますし、自分の税金の計算ミスも減らせます。
年末調整でやってくれること/やってくれないこと
ここが、いちばん誤解が多いところです。
【年末調整で“やってくれる”こと】
1年間に支払われた「給与」の合計を集計
扶養・保険・共済・iDeCoなどの控除を反映
それをもとに「本来の所得税額」を算出
毎月天引きしていた所得税との差額を精算
→ 払い過ぎなら還付、足りなければ追加で徴収
【年末調整では“やってくれない”主なもの】
副業収入(20万円超)の申告
株・投資信託など、給与以外の投資の利益の申告
医療費控除(医療費が多かった年の申告)
本人が自分でやる方式の「ふるさと納税」の控除(ワンストップ特例を使わない場合) など
これらは、年末調整とは別に「確定申告」で自分で手続きをする必要がある部分です。
「年末調整さえ出していれば、全部税金のことは終わり」と思ってしまうと、本来なら戻ってくるはずのお金を取り逃してしまうこともあります。
私が県職員だったころの「年末調整あるある」体験談
少しだけ、私自身の話もさせてください。
県職員1年目のとき、私は民間の生命保険に入ったのですが、年末調整のタイミングで「まあ、なんか自動でやってくれるだろう」と思い込み、控除証明書を出し忘れたことがあります。
結果として、
本来はもっと所得税が安くなるはずだったのに
その年は「満額払ったまま」で終わってしまった
という、ちょっと悔しい経験をしました。
そのときは、
「ちゃんと分からないまま“お任せ”にしていると、損をしても自分で気づけないんだな…」
と痛感しました。
あなたには、同じようなモヤモヤを味わってほしくありません。
ここまで読んだあなたが、今できる小さな一歩
手元にある
民間の生命保険や医療保険
共済
iDeCo など
の「控除証明書」が、どこに保管されているかだけでも、一度確認しておきましょう。
「この封筒にまとめて入れておく」と場所を決めておくだけで、今年の年末調整のハードルがぐっと下がります。
次の章では、実際に年末調整で書く 3つの代表的な書類 と、「ここだけは見てほしいポイント」を一つずつ見ていきます。
第3章:公務員の年末調整とは?出す3つの書類と「ここだけは見てほしいポイント」

扶養控除等申告書:誰を扶養に入れるかで税金が変わる
まずは毎年必ず出すことになる 「扶養控除等申告書」 からです。
これは一言でいうと、「今年、私にはこういう家族がいます」という自己申告の紙です。
ここに書く代表的な人は、
配偶者(結婚している相手)
子ども
一緒に暮らしている、もしくは仕送りしている親 など
です。
「扶養に入れる」とは、その家族の分、あなたの税金が軽くなるイメージです。
ただし、誰でも扶養にできるわけではなく、
年間の収入がいくらか
パートか正社員か
公的年金をどのくらいもらっているか
などの条件で、扶養にできる/できないが変わってきます。
とくに公務員家庭でよくある勘違いがこちらです。
✅ 子どもを扶養に入れ忘れている
✅ すでに社会人になった子どもを、なんとなくそのまま扶養にしている
✅ パートでわりとしっかり働いている配偶者を、まだ扶養に入れている
分からない場合は、「とりあえず書類を出さない」ではなく、給与担当か税務署に相談した方が安全です。
ここを間違えると、税金が多すぎたり少なすぎたりして、あとで調整が必要になることもあります。
保険料控除申告書:共済保険・県民共済・民間保険の扱い方
次は 「保険料控除申告書」 です。
これは、あなたが支払っている
共済保険(共済組合の団体保険)
県民共済・都民共済
生命保険・医療保険・がん保険
地震保険
iDeCo(個人型確定拠出年金)
などの「保険・年金」の情報を書く紙です。
ここで必要になるのが、各保険会社から送られてくる「控除証明書」です。
秋ごろになるとハガキや封書がポストに届いているはずです。
よくあるパターンは、
封筒を開けずにそのまま積んである
「あとでまとめてやろう」と思っているうちに締切が来る
結局、申告せずに終わってしまう
という流れです(私はこれで一度やらかしました…)。
控除証明書を出し忘れると、本当なら「保険に入っている人向けの税金のオマケ」が受けられるのに、受けないままになってしまうということになります。
なので、郵送で届くたびに封筒ごと「年末調整セット」としてまとめておくのがおすすめです。
書き方が分からない場合は、
控除証明書の「どこを見ればいいか」を確認
不安なら、空欄のまま給与担当に持っていき、窓口で相談
という順番でも大丈夫です。
「空欄だから怒られる」ということはありません。
分からないところは空けておいて、聞きながら埋めるくらいの感覚でOKです。
住宅ローン控除・iDeCoなど、追加で申告が必要なもの
公務員の年末調整とは、基本的には上の2つ(扶養+保険)が中心になりますが、人によっては次のような項目も関係してきます。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
iDeCo(個人型確定拠出年金)
小規模企業共済(副業等をしている場合)
住宅ローン控除は特に注意が必要で、
1年目:税務署で「確定申告」が必要
2年目以降:年末調整で適用してもらえる
という流れになっています。
つまり、住宅ローンを組んだばかりの公務員の方は、1年目に確定申告をしていないと、そもそも2年目以降の年末調整にも反映されないということになってしまいます。
iDeCoについては、先ほどの保険料控除申告書の中で「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入する形です。
こちらも、iDeCoを運営している金融機関から「控除証明書」が送られてきますので、それを見ながら書けば大丈夫です。
「全部きっちりやるのは大変…」という人向け・最低限チェックリスト
ここまで読むと、「なんだか書くことが多くて、逆に不安になってきた…」という方もいるかもしれません。
そこで最後に、「今年そこまで余裕がない公務員向け・最低限チェックリスト」 を置いておきます。
✅ 今年、結婚・離婚・出産・親の同居など、家族構成に変化はあったか
→ あったなら「扶養控除等申告書」をちゃんと見直す
✅ 共済保険・県民共済・生命保険などの控除証明書は全部そろっているか
→ 1枚でも見当たらない場合は、封筒ごと探してまとめる
✅ 住宅ローンを組んだ/iDeCoを始めた年ではないか
→ そうなら、年末調整だけでなく「確定申告」の案内もチェックする
完璧を目指す必要はありません。
まずは 「大きな変化があった年だけ、しっかり見直す」 というスタンスでも十分です。
ここまで読んだあなたが、今できる小さな一歩
スマホか手帳でもいいので、「今年の家族の変化」と「入っている保険・共済の名前」この2つだけ、メモに書き出してみてください。
年末調整の書類を書くときにそのメモを見るだけで、「あ、今年はここが変わったから、この欄はちゃんと直そう」 と気づけるようになります。
次の章では、年末調整とは別に、「公務員でも確定申告が必要になるケース」 をもう少し詳しく見ていきます。
第4章:年末調整とは違う?公務員が「確定申告も必要になる」ケース

公務員でも確定申告が必要になる代表的なパターン
「年末調整さえ出していれば、税金のことは全部終わり」
…と思いたくなりますが、実は年末調整だけでは完結しないケースがいくつかあります。
代表的なのは次のようなパターンです。
✅ 副業・アルバイト収入がある
家族構成に変化があったか
保険・共済に新しく入った/やめたものがないか

