公務員だった私が株式投資を始めた理由|将来不安と資産形成のリアル体験談

安定した職業といわれる公務員。
毎月決まった給料が入り、ボーナスも支給され、社会的信用もある──。
私自身も県庁の林業職として働きながら、「お金の心配はない、人生安泰」と思っていました。

しかし、あるときふと立ち止まり、将来を冷静に考えてみると、胸の奥に小さな不安が生まれました。
「退職金と共済年金だけで老後は本当に大丈夫なのか?」
「もし教育費や住宅ローンが重なったらどうなる?」
「どうしてこんなに働いているのに貯金が増えていかないのだろう?」
毎月の給与明細を見つめながら、そんな疑問が頭をよぎるようになったのです。

さらに、ある程度公務員を続けてきたなかで、本当に人の役に立つには「お金持ちにならないといけない」という気持ちが強く湧き上がってきました。
毎日目の前の事務仕事に忙殺されていた私にはその考えが拠りどころになっていきました。

そんな中で出会ったのが「株式投資」という選択肢でした。
最初は「公務員が投資なんてして大丈夫なのか?」「お金が減ってしまうのでは?」という戸惑いの方が大きかったです。
しかし、調べていくうちに、公務員にも許される範囲で資産形成をする方法があることを知り、少しずつ意識が変わっていきました。

この記事では、「なぜ公務員だった私が株式投資を始めたのか」を、体験談ベースでお話しします。
制度の説明や一般的な投資ハウツーではなく、リアルな不安・きっかけ・感情の変化を中心にお伝えしますので、同じように悩んでいる方の参考になれば幸いです。

公務員として感じた将来への不安・価値観の変化

公務員として働き始めた当初は、正直なところ「この先もうお金の心配はない」と思っていました。
給与は毎月きちんと振り込まれ、ボーナスも年2回。昇給だってほぼ確実にある。福利厚生も完璧。退職金も大企業並みにもらえる。なによりもクビにならない。
親や親戚、周囲からも「安定していていいね」と言われることが多く、自分でもそう信じていました。

しかし、公務員になってから1年経っても、3年経っても、5年経っても、貯金額はなかなか上がっていきません。
しかも、給与は毎年昇給していきますが、大学時代の同級生の民間企業の給料を聞くと、情けないくらい少ない、、、。

「この状態で結婚や子供ができたらどうなるのだろう」
「将来家は買えるのか」
「老後は大丈夫だろうか」
とどんどん心配・不安がわきあがってきました。

残念なことに、公務員は副業も原則許可制となっていて、自由に副業で稼ぐことができません。
空いた時間に副業でどんどん稼ぎたいと思ったこともありましたがダメでした。

あと、人の役に立ちたいと思って公務員になったわけですが、現実は甘くなく、目の前の事務処理にてんてこ舞い。
住民の役に立っている感覚は全くなくマシーンのようにひらすら事務を続けていく毎日に神経がすり減ってもいました。
また、お金持ちの個人や大企業が県に大きい金額を寄付して「行政に役立ててください」という姿や、お金がなくやりたいことが満足にできない事業団体をたくさん見てきました。
このようななかで、
「お金がないと人の役に立つことはなかなか厳しい」
「人を幸せにするにはまずは自分が幸せでなければいけない」
「家族とのんびり自由に幸せに暮らしたい」
「自分が本当にしたい仕事で人の役に立ちたい、稼ぎたい」
と思うようになっていきました。

株式投資を始める決断に至ったきっかけ

将来に対する漠然とした不安や価値観の変化を抱えながらも、私はしばらくの間、具体的な行動を取れずにいました。
「公務員は安定しているけどお金持ちにはなれない、仕方ないか」という心境でした。
ところがある日、人生を大きく変える一冊の本に出会います。

投資関連本との出会いで変わった価値観

公務員5年目あたりだったでしょうか、たまたま立ち寄った書店で手に取ったのが『金持ち父さん貧乏父さん』でした。
最初は「投資なんて自分には関係ない」と思っていたのですが、読み進めるうちに価値観が大きく変わりました。

特に印象に残っているのは、「お金に働かせる仕組みを持つ人(資本家)と、労働だけでお金を得る人(労働者)の差は年を追うごとに広がる」という部分です。

これを読んだとき、「自分は後者のままでいいのか?」──そう痛感した瞬間でした。

NISAやiDeCo制度開始のニュースが背中を押した

さらに私にとって追い風となったのが、2014年のNISA開始や2017年公務員もiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できるようになったというニュースでした。
「投資はなんだか怖い」と思っていた私にとって、国が用意した制度であることが大きな安心材料になりました。

このとき初めて「お金を働かせる」という発想を現実的に考え始めました。

初めて証券口座を開いたときのドキドキ

当時の私は完全な投資初心者。
まずは株の雑誌や入門書を読んで、証券口座を開設するところから始めましたが、正直かなり緊張したのを覚えています。
「本当に公務員が投資をして大丈夫なのか…?」
ネットで「公務員 投資 副業禁止」と何度も検索してしまったくらいです。

調べた結果、株式投資は「資産運用」であって副業には該当しないと分かり、ようやく第一歩を踏み出せました。

初めて買った銘柄と投資額、リアルな感情

最初に購入したのは、「メガネスーパー」と「ランド」の株でした。
「安く買える」という安易な理由で、思い切って数万円ほど投資したんです。
購入ボタンをクリックした瞬間、心臓がバクバクしていたのを今でも覚えています。

結果ですが、ビギナーズラックがおきてメガネスーパーは数日で株価急上昇。
たしか7千円程度の利益がでました。
とても運がいい株式投資人生の幕開けとなりました。

投資を始めたことで芽生えた「お金への意識」

この経験をきっかけに、私は自然とお金について学ぶようになりました。
お金の基本、節約術、税金、財務諸表の見方、PER・PBRなどの指標、長期・分散投資の重要性…。
今まで全く触れて来なかった「お金の勉強」を、投資がきっかけで始められたのです。
お金の勉強にはまりすぎて、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格も取ったくらいです。

「投資はお金を増やすための手段」であると同時に、「お金と正しく向き合うためのきっかけ」になったと今では思っています。

公務員が株式投資を始める上で感じた不安と私の対処法

株式投資を始める決意をしたとき、正直言って不安だらけでした。
特に公務員の場合、「副業禁止規定」「投資に対する周囲の視線」が大きな壁に感じられます。
ここでは、私が投資を始める際に感じた不安と、それをどう乗り越えたのかをお話しします。

「公務員が投資をして大丈夫なのか」という不安

最初にぶつかったのは、やはり副業禁止規定への不安でした。
当時の私は、「公務員は投資をしてはいけない」という思い込みが強く、ネットで「公務員 投資 副業禁止」と何度も検索していました。

調べた結果、株式投資は原則として副業には当たらないとわかりました。
営利目的で企業の役員に就任したり、投資額が莫大で職務に影響する場合は別ですが、あくまで資産運用の範囲であれば問題ないと知って一安心。
ただし、「インサイダー取引」や「勤務時間中の株売買」は絶対にNGです。

投資の話をしづらい職場の雰囲気

もうひとつの不安は、投資の話題を職場で出せないことでした。
公務員の世界では「投資=ギャンブル」というイメージがまだ根強く、職場で投資をしていることを話すと、変な目で見られることもあります。

実際、同僚に株式投資の話を振ったことがありますが、「危なくない?」と心配されることが多く、結局それ以来話さなくなりました。
周囲には株をやっている人がほとんどいなかったので、株を始めた当初は孤独感が強くありました。

リスクを抑えるために実践した3つの工夫

投資に踏み出すと決めたものの、「損をしたらどうしよう」という不安はずっとありました。
そこで、リスクを抑えるために私が実践したのは次の3つです。

  1. 少額から始める

    • 最初は数万円程度からスタートし、経験を積みながら徐々に投資額を増やしました。

  2. NISAを活用する

    • 少額・長期・分散投資を意識して、感情に振り回されない仕組みを作りました。

  3. 株の勉強をする

    • 実際に売買しながら経験を積むとともに、並行して株の勉強をし、知識習得を継続していきました。

この3つを徹底することで、不安はかなり軽減され、投資を続けやすくなりました。

「リスクをゼロにすることはできない」と受け入れる

最終的に一番大切だったのは、「リスクを完全になくすことはできない」と受け入れることでした。
株式投資は、どうしても価格変動がつきものです。
それを避けようとすると、逆に正しい判断ができなくなってしまいます。

大切なのは、「リスクをゼロにすること」ではなく、

  • 投資額をコントロールする

  • 長期で資産形成を考える

  • 必要以上に不安を膨らませない
    この3つを意識することでした。

まとめ:公務員の私が株式投資を始めて本当によかった

正直に言えば、投資を始める前の私は「お金」について深く考えたことがありませんでした。
公務員という安定した立場に甘えて、「毎月の給料と退職金、年金があれば何とかなるだろう」「お金持ちになれないけど、普通の生活をしていく分には一生くいっぱぐれない」と思っていたんです。
しかし、「将来への不安」、「増えていかない貯金への焦り」、「お金持ちになりたいという気持ち」から「このままではいけない」と気づきました。

あのとき勇気を出して、株式投資に一歩踏み出して本当によかったと思っています。
もちろん、投資にはリスクがあり、何度も失敗も経験しました。
それでも、「自分のお金をどう増やすかを自分で考え、行動できた」という経験は、何よりも大きな財産になりました。

投資を始めたことで、将来に対する漠然とした不安は少しずつ薄れ、「お金を働かせる」という考え方が身についたことで、生活や価値観も大きく変わりました。
もし、今この記事を読んでいるあなたが、かつての私のように将来に不安を感じているなら、まずは情報を集めるところから始めてみてください。

大切なのは、「自分で考え、自分で行動すること」です。
たとえ小さな一歩でも、それが将来の安心につながると、私は実感しています。

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