公務員は暗号資産(仮想通貨)に投資できる?規制・リスク・メリットをFPが徹底解説【2025年版】

近年、ビットコインやイーサリアムをはじめとする「暗号資産(仮想通貨)」が急速に普及しています。ニュースやSNSでも日常的に目にするようになり、「公務員でも買っていいの?」「副業禁止規定に引っかからない?」と疑問に思う方は少なくありません。

特に公務員は、国家公務員法や地方公務員法によって副業や兼業が厳しく制限されているため、投資活動がどの範囲まで許されるのか、誤解や不安が生じやすい分野です。実際に私のもとにも「暗号資産に興味はあるけど規制が怖い」という相談が寄せられます。

この記事では、公務員が暗号資産を保有・投資する際のルールや注意点を、元県職員でFP資格を持つ筆者がわかりやすく解説します。法律・税制の根拠を明確に示しながら、実際のメリット・デメリットや体験談、そして安心して投資を始めるためのポイントまでを徹底網羅しました。

最後まで読めば「自分はどこまで暗号資産に関わっていいのか」が明確になり、リスクを回避しながら正しく投資判断ができるようになります。

公務員は暗号資産(仮想通貨)を持てるのか?

「公務員は暗号資産を持ってはいけないのでは?」と不安に思う方は多いでしょう。結論から言えば、暗号資産を購入・保有すること自体は法律で禁止されていません。しかし、副業禁止規定や職務上の制限と絡む部分があるため、注意点を理解しておく必要があります。

国家公務員法・地方公務員法と副業規制の関係

国家公務員法第103条や地方公務員法第38条には「営利企業への従事制限」が定められています。つまり、営利を目的とする会社での勤務や兼業は原則禁止というルールです。しかし、この「副業禁止規定」はあくまで「雇用関係」に基づくものが中心であり、株式投資や投資信託、暗号資産への投資は副業ではなく“資産運用”に分類されると解釈されます。

投資は副業に当たらないのか?

株式投資や不動産投資と同様、暗号資産を買って値上がり益や配当のような利益を得ることは「資産運用での収益」であり、「勤務」や「事業」に従事するわけではないため、副業にはあたりません。
ただし、もし暗号資産の取引を「事業的規模」で行い、第三者に売買を代行するなど「業」として認定されれば、副業と判断されるリスクがあります。たとえば、数百回単位で短期売買を繰り返し、事業所得に分類されるようなケースは注意が必要です。

実際に禁止されているケース

暗号資産投資が公務員にとって問題になるのは、次のようなケースです。

  • 職務と関わる場合:金融庁や税務署など、暗号資産に直接関わる部署に勤務している職員が自己の利益のために取引する場合は「利益相反」となり得ます。

  • 勤務時間中の取引:就業時間内にスマホで売買を繰り返していれば服務規律違反です。

  • 情報を利用した取引:業務上知り得た未公開情報をもとにした取引は、株式でいう「インサイダー取引」と同様に問題視される可能性があります。

まとめ:保有は可能、ただしリスク管理が重要

つまり、公務員であっても暗号資産を購入・保有すること自体は認められています。ただし、

  • 職務との関わりを避ける

  • 勤務時間中に取引しない

  • 事業的規模で行わない
    といったルールを守ることが前提です。

実際、私の友人の市職員も株式や投資信託と同じ感覚で10万円程度の暗号資産を購入・保有しています。特に問題にはなってないそうですが、確定申告や職場の人事課への説明責任を意識し、常に「グレーに見える行為を避ける」よう注意していました。

このように、投資=可能だが、節度を守って透明性を意識することが、公務員にとって暗号資産と付き合う際の大前提となります。

暗号資産投資のメリット・デメリット

公務員にとって暗号資産投資は「副業には当たらない」ものの、当然リスクも存在します。ここでは、暗号資産特有のメリットとデメリットを整理し、実際に投資を検討する際の判断材料にしていただければと思います。

メリット1:少額から始められる

株式投資の場合、1単元=数十万円が必要になるケースもあります。しかし暗号資産は、数百円単位から購入可能です。例えば、ビットコインは1BTC(数百万円)単位でなくても、小数点以下で分割購入できます。「まずは小額でお試し投資をしたい」という初心者にとって大きな魅力です。

メリット2:24時間365日取引できる

株式市場は平日9時〜15時と時間が限られていますが、暗号資産は世界中の取引所で常に動いていて、24時間365日取引ができます。公務員のように平日は日中勤務の方でも、帰宅後や休日に取引可能です。特に「忙しいけれど投資をしたい」という層には柔軟性が高いといえるでしょう。

メリット3:世界的な成長市場に参加できる

ブロックチェーン技術やWeb3.0、NFT、メタバースなど、次世代インターネットの基盤として暗号資産は注目されています。日本円や株式だけでなく、世界的な成長産業の一端に触れられるのは大きな学びにもつながります。


デメリット1:価格変動が極めて激しい

最大のリスクは「ボラティリティ(価格変動の大きさ)」です。例えばビットコインは1日で10%以上値が動くことも珍しくありません。株式投資の値動きに慣れた人でも「怖い」と感じるレベルです。短期間で大きな利益が出る一方、逆に大きな損失を抱える可能性もあることを理解する必要があります。

デメリット2:詐欺・ハッキングリスク

暗号資産はインターネット上で管理されるため、取引所のハッキング事件や、怪しい投資案件による詐欺被害が繰り返し報道されています。金融庁登録済みの国内取引所を利用することが必須であり、ウォレットに資産を分散して管理するなどの工夫が求められます。

デメリット3:税制が複雑で不利

暗号資産の利益は「雑所得」として総合課税されます。所得が高い公務員の場合、最高で55%の税率がかかることもあります。また株や投資信託と違い、損益通算や繰越控除ができません。「株で損をしたから暗号資産の利益と相殺する」といったことができないのです。さらに、確定申告を怠れば「副業がバレた」と誤解されるリスクもあり、税務面での注意は欠かせません。


まとめ:ハイリスク・ハイリターンを理解する

暗号資産は「少額から・いつでも・世界的な成長市場に投資できる」という魅力がある一方で、価格の急変動・税制の不利・詐欺やハッキングのリスクを抱えています。

私自身も1万円分のリップルを保有してみたことがありますが、短期間でプラス20%になったかと思えば、翌週にはマイナス30%という乱高下に振り回されたこともあります。株や投資信託に比べて「値動きに強いメンタル」が必要だと痛感した経験です。ちなみにリップルは1万円が7万円になったところで売り抜け、今は保有していません。

結局のところ、暗号資産は「余裕資金で、リスクを理解した上で付き合う投資対象」と捉えるのが妥当でしょう。

公務員と暗号資産の税金ルール

公務員が暗号資産に投資する際、最も注意すべきなのが「税金」です。暗号資産は株式や投資信託とは異なる課税方式が適用されるため、正しい理解が必要です。ここを誤解すると「副業がバレる」「申告漏れになる」といったトラブルにつながります。

暗号資産は「雑所得」として課税

暗号資産の売却益や、他の仮想通貨への交換で得た利益は、所得税法上「雑所得」として扱われます。給与所得と合算される「総合課税」方式であり、利益が大きいほど累進課税で税率が上がります。

  • 所得税:最大45%

  • 住民税:一律10%
    → 合計で最大55%課税される可能性があります。

株式投資のような「申告分離課税(約20%)」が適用されない点が、大きなデメリットです。

参考サイト:国税庁 暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について

「年間20万円以下は申告不要」の誤解

よく「利益が20万円以下なら申告不要」と言われます。確かに給与所得者で年末調整済みの人は、雑所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。
しかし、ここには落とし穴があります。

  • 住民税の申告は必要

  • 所属自治体に利益を申告しないと、税務署から職場に通知が行き、「副業では?」と疑われるリスクがある

つまり、「20万円以下だから何もしなくていい」と思い込むのは危険です。住民税申告を怠ると、思わぬところで職場に知られる可能性があります。

税務署への報告義務とマイナンバー制度

現在、国内の取引所は金融庁の規制下にあり、口座開設時に本人確認とマイナンバー提出が必須です。取引所は取引データを税務署に提供するため、「申告しなくてもバレない」は通用しません
むしろ、後から税務署に指摘される方がリスクは大きいでしょう。

公務員特有の注意点

公務員は「税金を正しく納める立場」にあるため、確定申告の不備や住民税の申告漏れは一般の会社員以上に問題視されやすい立場です。

まとめ:税金対策は必須

  • 暗号資産の利益は雑所得(総合課税)

  • 20万円以下でも住民税申告が必要

  • マイナンバーで税務署に把握される

  • 公務員は特に税金の申告漏れがリスクになる

私自身も初めて暗号資産を売却した年に、暗号資産に関する税金や確定申告について、しっかり勉強して対応しました。

その一方で、きちんと申告しておけば「副業では?」と疑われる心配は減ります。透明性を確保することこそ、公務員が暗号資産と付き合う第一歩といえるでしょう。

公務員が暗号資産を持つときの注意点

法律上は暗号資産の保有が禁止されていない公務員ですが、実際に投資を始めるとなると「どんな点に気を付ければいいのか」が重要です。ここでは、公務員特有の立場を踏まえた注意点を整理します。

職務と関わる業務で取引しない

金融庁や税務署など、暗号資産に関連する政策・規制を扱う部署に勤務している場合、自分がその分野で取引を行うことは利益相反と見なされるリスクがあります。
たとえば「内部で検討中の規制情報を先取りして売買した」と判断されれば、服務規律違反に直結しかねません。公務員としての職務と投資活動が混同しないよう、線引きを明確にしておく必要があります。

勤務時間中に取引しない

暗号資産は24時間365日取引できるのが魅力ですが、勤務時間中にスマホを操作して売買を繰り返すのは問題です。職場のPCやWi-Fiを利用して取引するのも服務規律違反とみなされかねません。
実際、私も県庁在職中に株式を取引していた際は「勤務時間中には絶対に触らない」とルールを決めていました。暗号資産でも同じ姿勢が求められます。

SNSやブログでの発信に注意

最近は「暗号資産で儲かった話」をX(旧Twitter)やブログで発信する人も増えています。しかし、公務員が名前や顔を出して発信すると「営利目的の情報提供」と解釈される場合があり、副業規制に触れるリスクがあります。匿名であっても、副収入を得るような形(アフィリエイトや有料記事販売)になれば副業です。投資の発信は慎重に判断しましょう。

制度変更リスクに常に注意

暗号資産は法制度が未成熟で、今後も規制強化や税制改正が行われる可能性が高い分野です。たとえば過去には「海外取引所の利用制限」や「確定申告ルールの厳格化」が導入されました。公務員は「知らなかった」では済まされない立場なので、金融庁や国税庁の公式サイトで最新情報を確認する習慣が欠かせません。

まとめ:ルールを守れば投資は可能

  • 職務と関わる領域では取引しない

  • 勤務時間中にスマホで売買しない

  • SNSや発信活動には副業リスクがある

  • 制度変更リスクを常に追う

公務員が暗号資産に投資する際の実践例

「暗号資産に投資できる」と分かっても、実際にどう行動すれば安全で現実的なのかイメージしにくい方も多いと思います。ここでは、公務員がリスクを抑えながら暗号資産に取り組むための具体的な方法を紹介します。

少額から始めるドルコスト平均法

暗号資産の最大の特徴は価格変動の激しさです。そのため一度に大金を投入するのではなく、ドルコスト平均法(毎月同じ金額を積み立てる方法)が有効です。
例えば、毎月5,000円をビットコインに積み立てると、価格が高い月には少しだけ、価格が下がった月には多めに購入できます。長期的に平均購入単価を抑えられるため、リスク分散に繋がります。株式や投資信託の積立経験がある公務員なら、この方法は馴染みやすいでしょう。

国内取引所を利用するのが基本

暗号資産を取引する場合、必ず金融庁に登録された国内取引所を利用すべきです。
代表的なものには以下があります:

  • コインチェック(初心者向けアプリが使いやすい)

  • SBI VCトレード(SBIグループで信頼性高い)

海外取引所は銘柄数が豊富ですが、金融庁の許可を得ていないケースが多く、規制の対象外となります。万が一トラブルが起きても、日本の法律で守られない可能性があるため、公務員にとってはリスクが大きすぎます。

私は、SBI証券で株式投資をしているということもあり、SBIグループの信頼性という観点より「SBI VCトレード」を利用しています。

投資額は「生活に支障のない範囲」

暗号資産はハイリスク・ハイリターンです。したがって、投資する額は「最悪ゼロになっても生活に困らない範囲」に絞ることが基本です。例えば、毎月の余裕資金の5〜10%程度を上限に設定し、それ以上は手を出さないルールを作ると安心です。

実際の体験談:私が試した小額投資

私自身も1万円をリップルに投資した経験があります。途中、乱高下を経験しつつも、最終的にはほぼ7倍に落ち着きましたが、この経験で「大きな額を一気に投じるのは危険だ」と強く実感しました。
一方で、少額であれば精神的な負担も少なく、暗号資産の仕組みや税申告の流れを学ぶ良い教材になりました。

長期目線を持つ

短期的に儲けようとすると失敗しやすいのが暗号資産です。特に勤務時間中に相場をチェックできない公務員にとって、デイトレードは現実的ではありません。むしろ「少額積立で数年単位の保有」を前提に、長期投資で成長を期待するスタンスが合っています。

よくあるQ&A

暗号資産に興味を持つ公務員の方からは、よく似た質問が寄せられます。ここでは代表的な疑問に答えていきます。

Q1:公務員でもビットコインを買って大丈夫?

A:問題ありません。
暗号資産の購入自体は法律で禁止されていません。ただし前章までに述べたとおり、勤務時間中の取引や職務との利益相反、事業規模の売買などは避ける必要があります。要するに「株式投資と同じように節度を持って行う」ことがポイントです。

Q2:税務署にバレるのでは?

A:必ず把握されます。
国内の取引所は金融庁の登録業者であり、マイナンバーと紐づけて取引情報を税務署に提出します。「少額だから大丈夫」と思っていても、後から調査が入る可能性があります。むしろ正しく申告しておくことで、「副業では?」と職場から疑われるリスクを回避できます。

Q3:年間20万円以下なら本当に申告不要?

A:所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。
この点を誤解している方が非常に多いです。住民税の申告を怠ると、「無申告加算税」や「延滞金」が課される可能性があります。20万円以下であっても、住民税の申告は必須と覚えておきましょう。

Q4:NFTやメタバース投資も同じ扱い?

A:基本的に同じです。
NFT(デジタルアートやゲームアイテムなど)を売買して利益が出れば、それも「雑所得」として課税対象です。暗号資産そのものだけでなく、NFTやメタバース内での資産も税制上は同じカテゴリーで扱われます。

Q5:海外取引所を使ってもいい?

A:リスクが大きいため非推奨です。
確かに海外取引所は取扱銘柄が豊富で魅力的に見えますが、日本の金融庁に登録されていない取引所を利用することは、トラブル時に法的保護を受けられません。また、出入金時に銀行口座が凍結される可能性もゼロではありません。特に公務員はリスクを極力避けるべき立場なので、国内取引所を利用するのが賢明です。

Q6:もし利益が大きく出たらどう申告する?

A:雑所得として総合課税で申告します。
利益が数十万円〜数百万円規模になった場合、累進課税で税率が上がります。必要経費(手数料など)は控除できますが、株のように損益通算や繰越控除はできません。私自身も最初の申告時に「株と同じ感覚」でいたため、計算方法の違いに戸惑いました。

まとめ:公務員が安心して暗号資産に向き合うために

ここまで、公務員が暗号資産(仮想通貨)を保有・投資する際のポイントを整理してきました。大切なのは「禁止ではないが、透明性と節度が求められる」という視点です。

暗号資産のメリットとリスクの整理

暗号資産には、少額から始められる・24時間取引できる・世界的な成長分野に触れられるといったメリットがあります。一方で、価格変動の激しさや、ハッキング・詐欺リスク、税制面での不利といったデメリットも抱えています。

つまり「余裕資金で長期目線で取り組む」ことが前提条件になります。短期で大きな利益を狙うのではなく、リスクを理解したうえで資産の一部を配分するのが賢明です。

公務員特有の注意点

  • 職務と利益相反しないようにする

  • 勤務時間中に売買しない

  • SNSでの発信や情報提供は慎重に行う

  • 税金申告を怠らない

これらを徹底することで「公務員としての信用」を守りながら投資を継続できます。

最後に

暗号資産は決して「必須の投資先」ではありません。しかし、正しく理解すれば公務員でも取り組める新しい資産クラスです。重要なのは「制度を確認しながら、余裕資金で、自己責任で行うこと」。

常に最新情報をチェックしつつ、健全な投資スタンスを保てば、暗号資産はあなたの資産形成に役立つ一つの選択肢となるでしょう。

この記事を読んで「自分も少額から挑戦してみたい」と思った方は、まずは金融庁登録の国内取引所(コインチェック、SBI VCトレードなど)で口座開設を検討すると良いでしょう。

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